A.D.5041/12/20 Mon, 7:30PM
South Beach , NewYork , Isl.Staton , Kingdom of America
The tale which YURI=RHEINHOLD tells,

「待って!」
ミーティング・ルームを出てから、だいぶ先を行っていたカイを、私は呼びとめた。
2メートル近い身長で且つ大股な、彼の歩く速度はいわゆる競歩だ。
本気で短距離を走ると、オリンピックの金メダリストが生まれ変わっても到達できないらしい速度だというから、夜なら、少し気を抜けばすぐに見えなくなってしまう。
そして結局、走ってはるか前を行く彼を追い、職員用の駐車場まで来ると、彼は特定の場所でこちらを向いて、私が近づくのを待っていた。
すぐ手前まで走って近づいたのへ。
彼は、それよりも前に手を伸ばして私の左腕を捉えると。
ぶつかるくらい強く引き寄せて、黒いウールのコートごと私を抱きしめた。

そのあとも、何も言わない。

夜も更けた、広い駐車場。
ところどころ車が駐まっている中、照明が一部分を等間隔で照らしている。
そのうちの一つの照明から、少し離れた暗がりに、私とカイはいた。

近くにハイウェイが通っていて、車のライトが瞬くように光って、暗闇を彩っている。
彼に抱かれながら、そんな風景をとろけるように見ていると。

暖かい懐から、少し離して、形を確かめるように、頬を。
こめかみを。
頭を撫でて。
その間、ずっと、何か言いたそうにしながら、私の眼を見つめていた。

きっと。
あの部屋で、私を見つけてから会議中も、ずっと。
早くこうしたい、と思っていたんだと、その仕草から感じた。

でもそれは私も同じで。
しかもそれ以上に。

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